信号雷管は、乗務員や保線区員が線路の見回りに出かけるときに携帯したり、踏切の詰所などに常備されていたものである。見回りなどでは、通常4個以上の雷管と4個以上の信号炎管を携行することになっていた。
蒸気機関車の水の用途とタンク式/テンダー式機関車
蒸気機関車に積まれる水はボイラーで蒸気を発生させるためだけに使用されるだけではなく、いろんな所に撒かれることがある。
津和野駅にある給水塔。
機関車の水の用途
石炭水撒き
運転室水撒き
灰箱水撒き
タイヤ水撒き
タイヤ?
一般には鉄道の場合「車輪」と呼ぶ。しかし、厳密に言うと車輪は車軸、輪心とタイヤから構成されており、タイヤとは輪心の外周を取り巻く鋼製の輪のことである。
レール水撒き
レール砂洗い
急勾配区間で使用する機関車の最終動輪の後ろ側についている。
このように蒸気機関車の水の消費は意外に多く、石炭1に対して、水は最低でも5以上(重量比)必要ということである。
石炭を積む施設が機関区などに集中しているのに対して、給水施設が随所の駅のホーム端に見られることからも水の消費量が多いことを物語っているといえる。
水の積載箇所
蒸気機関車には水や石炭を機関車自身に積載するタンク式機関車、水や石炭を積載した炭水車(テンダーとも呼ぶ)を連結しているテンダー式機関車がある。
タンク式機関車
タンク機関車は、一般に機関車の中央のボイラ左右に水のタンク、運転席後方に石炭と水を積載している。
テンダー式機関車
一方テンダー機関車のテンダーは、内部では上下に仕切られており、下部に水、上部に石炭を積載している。
これはD51形機関車のものだが、意外に浅い。
運転席から石炭を取り出すために手前の部分は傾斜している。
このように、タンク式機関車とテンダー式機関車の違いは、機関車自身に水と石炭を積んでいるのがタンク式機関車、炭水車を連結しているのがテンダー式機関車ということになる。
さらに言えば、タンク式機関車は水や石炭を大量に積載することができないことから、長距離の運転には適していない。また、テンダーがない分小型であるためローカル線での運転に適した機関車であるといえる。
逆にテンダー式機関車は大量の水と石炭を積載することができるので長距離の運転に適している。ただし、車両が大きくなり、ローカル線での取り扱いには難がある機関車といえる。
蒸気機関車の形式称号
タンク式機関車とテンダー式機関車の違いは「蒸気機関車の形式称号」でも区別できるようになっている。また、このページにもタンク式機関車とテンダー式機関車の違いについて記述しています。
炭水車(テンダー)
炭水車には「6-13A炭水車」、「12-17C炭水車」などの呼称がある。
最初の数値は石炭の積載量をt(トン)で表し、後の数値は水の積載量をm3(立方メートル)で表している。
同じ容量の炭水車でも改造が施された場合、設計順序によってA、B、Cといった記号が附記される。
C57形機関車は12-17炭水車、D52形機関車は10-25炭水車などが使用されている。
また、C62形機関車の炭水車は10-22A・S炭水車である。末尾のSはストーカー(自動給炭装置機)付きであることを表している。
テンダーにはその容量のプレートが取り付けられていることがある。
石炭の積載量10t、水の積載量17m3でストーカー付のテンダーである。
石炭の積載量10t、水の積載量22m3でストーカー付のテンダーである。
蛇足だが、ストーカーで給炭される石炭は運転席の下部を通りボイラに入る。
プレートが貼布されている部分もいろいろあったようだ。
8620形機関車の表記は450立方呎(りっぽうフィート)となっている。
水容量である。
1913年頃(大正時代)に設計された国産初の8620形機関車、9600形機関車の図面の寸法はインチで書かれている。
詳しくはわからないが、当時日本は尺貫法を使っており、度量衡法の改正でメートル法が国内単位の統一となったのが1921年。
8620形などの機関車はイギリスやドイツなどの機関車を参考に設計されていることもあり、図面も尺貫法、メートル法ではなくフィート・インチ制の下で書かれたのではなかろうか。
ということで、水の積載量も立方フィートで表記されているものと思われる。
8620形機関車の図面の例
ちなみに、450立方フィートは約12,742リットル。
なお、8620形機関車、9600形機関車の図面は仕様変更等があった部分等についてはメートル法で書き直されているようだ。