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大型鉄道模型工作機械

工作室
ライブスチーム模型(大型鉄道模型)を製作するとなると、それなりの機械、工具が必要になります。
私は、次のような機械を使用しています。


旋盤

マイフォード スーパー7

旋盤 マイフォード スーパー7

大型模型を製作するとなると旋盤は欠かせない。
卓上旋盤としては、本当に机の上に乗るようなミニレースから、畳一畳程度のスペースを必要とする大きさの物まで各種販売されている。

加工する物の大きさから旋盤の大きさを決めなくてはならないが、旋盤で加工するものの最大の物としては車輪が挙げられ、この径が加工できる旋盤が必要となる。

 

  • この旋盤はベルト駆動で音も静か。ハンドル類も丸みを帯びていて手にしっくりとくる。
  • またイギリス形旋盤の特徴としてこのサイズながらベッドの左端が欠きとってあること。車輪は面板を使えばベッド上の振り以上の径の加工ができる。
  • 日本では、 ベルメックスインターナショナル社で、購入することができる。

 

FL260E ミニ卓上旋盤 (寿貿易)

旋盤、フライス盤を置いていた部屋を子供部屋として空け渡すことになり、私の機械類は’98年5月実家の方に引っ越していった。
で、2007年。
いろいろと作りたい物があり、実家から再び運ぶにしても運賃が高いのと、大きな物の加工はあまりしないつもりなので場所をとらない小型の機械を購入した。

 

FL260E

  • 無段変速機構によりツマミひとつで100rpmから2,500rpmまで変速できる。
  • チャックの把握能力は正爪約30mm 逆爪約70mmというところから見ても5インチゲージの機関車をこれ一台で加工するのはちょっと厳しい。
  • 重量は30.5kgと軽量でトレイの上に乗っているから移動も楽、小物パーツの軽加工と割り切れば結構便利だろう。

 

トップスライド(刃物台)とデジタルメータ

FL260E

クロススライドとトップスライドにはオプションのデジタル目盛りをつけてみた。
写真の右に写っている水色っぽいものがトップスライドのデジタル目盛りで、トップスライドの上方に出っ張っている。..
で、トップスライドを移動させていくとデジタル目盛りが心押台にぶつかる。

ならばと、バイトをオーバーハングして取り付けてといっても6mm角のバイトの全長は数センチ。

たいしてオーバーハングできない。

せっかく小物の加工と割り切ろうとしているんだけど小物には心押し台は使えないということになるのだろうか!?

トップスライドが横に長すぎ。
でもってデジタルメータ分厚すぎ。

デジタル目盛りを取り外して普通のメータに戻すことはできるのだろうか!?

この機種にはオプションで把握能力が30mmの固定振止と25mmの移動振止があるから、30mm以下ならば振止、それ以上なら心押し台と使い分ける必要があるみたい。

チャックの把握能力や心押し台の使える範囲などを考えながら加工の段取りを考える時間がかなりかかりそうではある。

 

心押し台のテーパ

車輪に車軸の穴をあけたりリーマを通す場合、心押し台にドリルやリーマをつけて加工することになる。

このクラスの旋盤では10mmのドリルをつかむことができるチャックがついている。

大きめのチャックでも13mmが限度であるからそれ以上の径がある刃物はつかめないことになる。

車輪の軸穴といっても3.5インチの蒸気機関車の動輪の場合は十数ミリ以上となる。

となると10mm程度の穴をあけて中ぐりバイトで穴を広げていき、仕上げのリーマはチャックでつかむことができるチャッキングリーマを探すことになるが、なかなか適当な物が見つからない。

チャッキングリーマの他には大型の旋盤等で使用されているようなマシンリーマがある。

これはリーマ自体が直接心押し台に取り付けられるように柄の部分がモールステーパ(MT)になっているもので、MT1やMT2のものが市販されている。

この機種の心押し台もMT2だから..とはいってもこのクラスに使用されているものはテーパ部が50mm程度のショートタイプ。片やマシンリーマなどは大型機械用にできていてテーパ部は100mmほどあるため使えない。

こんなことを考えていると機械を選ぶ際にはオプションでそろえられる工具がどの程度あるかも重要な選択肢だと言える。

ミニSLの部品加工以外にも、バイクのパーツ加工にも使用でき、趣味の範囲も広がるかも。

フライス盤

東洋アソシエイツ FV-320T

東洋アソシエイツ FV-320T

旋盤についで、フライス盤も必要になる。
ミーリングアタッチメントを取り付けることでフライス加工できるタイプの旋盤もありるが、大きなものを加工するのであればテーブルの広い専用機の方が適していると思う。
というのも、フライス盤は想像以上に使用頻度が高いものであるから。

ギヤ変速なのでちょっと音が気になるが、やむを得ないところだろう。

 

FM100 ミニ卓上フライス盤 (寿貿易)

フライス盤FV-320Tも実家に引っ越したため、小型のフライス盤を買った。

 

FM100

  • 無段変速機構によりツマミひとつで200rpmから3,000rpmまで変速できる。
  • 高速で回すとそれなりの音になるが、ギヤ変速とは比べ物にならないほど静かといえる。
  • 長手(左右)送り228mm、クロス(前後)送り88mmというスペックは5インチゲージのものを加工するのにはちょっと無理がある。
    「1ランク上の機種を選びましょう」と寿貿易のHPにもあるように余裕のあるスペックを考えておくことは重要だ。
    また、モーターの馬力もさほど大きいものではなく、重切削には向かない。

東洋アソシエイツ社のFV-320Tは確か60~70kgを越えていたと思うのだが、この程度の重量でもスタンド上に乗っていると一人では簡単に移動もできず、背後の掃除にも苦労したものである。

小物、軽作業用と割きれば32kgという重量はよい。
一人で動かすにはこの重量が限度だろう。

工作機械選びは必要な品物が加工できる必要は最重要であるが、スペースの確保や、周りの掃除など相当慎重に検討しなければならないと思う。

家庭では床に固定することも難しいし、背後の掃除まで考慮して設置できるスペースの確保もなかなか難しい。

 

スピンドル(クイル)の移動量

FM100

バイスの口は70mm程度の小さなものなので大きな物は固定できない。
ちょっと大きめの物の平面加工をするには、テーブル上に直接ワークを固定して加工する必要がある。
この写真はφ13のエンドミルを装着してスピンドルを一番下までおろした状態。
エンドミル先端からテーブル面までは30mmくらいある。つまりワークの高さが30mm以下のものはエンドミルが届かない。
当然ワークの下にゲタをはかせる必要があるが、そのゲタも30mm以上の厚みがないと平面加工することができない。!?
(柄の長いエンドミルもあるが、それなりに高価である)ゲタを作るためにはもっと大きなフライス盤が必要ということか!?
 
そんなことはないだろうとよく見ると..左側にストッパがついていた。(^^;
説明書はよく読みましょう。

 

FM100

これを下げるとちゃんとエンドミルがベッドに届くようになった。
機械は使いこなせるようにならないと..とは、いうものの、モーター上部のパイプがたわみ反発力となって下げきろうとしても若干上に戻されてしまうという問題もあったが。

ボール盤

ボール盤

穴あけに必要となる。キットとして販売されている模型でも、最低限ボール盤が必要になるものが多いようだ。
フライス盤でも代用できるが、チャックの取り替えを考えるとボール盤があった方が何かと便利な気がする。
マキタのTB130を使用しているが、厚い物に穴あけしようとするとセンタが振られるのが気になる。
このようなときはフライス盤を使った方がよいみたい。

 

ライトカッタ

旋盤で切削する鉄棒は、定尺物を購入すると安価だが、2~3mもあり、旋盤にかけるために切断するにもφ20もφ30もとなるとさすがに手鋸では閉口する。

このような場合、ライトカッタは必需品。

 

切断機

切断機

ランボードなどの外装部品を切り出すにしても手工具ではちょっと二の足を踏んでしまう。
2mm程度まで切断できる物も価格は下がってきている。
模型づくりには切断、折り曲げがつきもの。
いろいろな工具の中でも切断機は一番重宝しているかも。

 

溶接機

溶接機

貨車など板金構造物を作る場合、1.2mm~3.2mm厚くらいの軟鋼板が強度から見てもよさそう。
ただ、5インチゲージくらいの大きさになるとハンダ付けや銀ロウ付けではなかなか苦労する。
ということで、溶接作品第1号、ワフ29500形の貨車を作った。

イクラのミニアークで、2mm厚までの溶接機となっているが、3mm厚程度でも問題は無さそうだ。

溶接棒は1.6mm以下を使用するように指定されているが、私の場合技術が未熟なもので溶接棒がすぐに溶着し、赤熱してしまう。
このような場合、太い溶接棒の方がよいとのアドバイスを受けたこともあり、2mmのものを使用するようにした。

 

油圧プレス

油圧プレス

機関車のランボードのようなものは軟鋼板を曲げて作るが、手作業では曲げることはできない。
もちろん一枚物を曲げなくてもネジ止めや溶接などで組み合わせてもできるだろうが。
このプレスは、幅630mm × 高さ1075mm 重量46kg メーター付き 10tプレスで価格は¥19,800也。

プレス機自体は比較的安価で手に入りやすいが、刃(パンチやダイ)の方が入手しづらい。

これは用途に応じてフライス盤で作り出すのがよいかも知れない。

真鍮板で小物を加工するときにも便利。
たとえば煙室前部にある灰受けの加工

 

コンプレッサ

コンプレッサ

ライブスチームの模型をテストするには必須の物。
タンク容量、吐き出し量が選択のポイントか。
写真の物は2馬力、タンク容量39L、50Hzの時の吐き出し空気量は120L/min。

私の機関車の場合、このコンプレッサで低速ではあるが車輪を回し続けることが出来る。
しかしながら結構な騒音である。

高速で回転させ続けるとみるみる圧力が低下してくることからみても、機関車のボイラーが作り出す蒸気の力もあなどれない。

 

木工旋盤

ナカトミ WT-300

ナカトミ WT-300
鉄道模型用としては車輪の木型製作用というところだろうか。(私は別の目的で買ったのだが。)
金属加工用の旋盤とはバイトの使い方は全く異なる。
というより、バイトは手でもって木材に押しつけるから送り台というもの自体がない。
最初はとまどってしまった。
本体寸法 136×42×31cm 重量 33.5kg オプションのスクロールチャックをつけて¥34,000也。

 

木工旋盤(ナカトミ WT-300)を買った

 

収納

収納

  • マイフォード スーパー7、FV-320Tを使って加工していたときはマンションの一室を丸々使い、加工するときは壁や床にベニヤ板とブルーシートを敷いて切り粉の処理にも相当気を遣っていた..つもり。
    今回は庭で作業できるようにした。(庭といってもここには雨は直接かからない。)
  • L型アングルで組み上げた台にコンパネを貼り付けてある。 900mm(W)×600mm(D)×1,800mm(H)。 中は3段に区切ってあり、上段はフライス、中段は旋盤、下段は木工旋盤。 各機械は32~33kg程度だからコンパネを含めた総重量は100kg~110kgというところだろうか。
  • 上段のフライス盤は立った姿勢で作業できる高さとし、フライス盤自体も台にネジ止めしてある。
  • 中段の旋盤は棚板の中央あたりに仕舞っておいて、使うときに棚板の端まで引っ張り出してくる。 高さは風呂用の椅子にすわって使える高さである。
  • 下段の木工旋盤はさすがにこの位置では使えないので使うときに外に出す。
  • 前面は上段用と下段用に2枚に分けたコンパネをネジ止めする扉をつけた。 フライス盤だけ使いたいときは上だけ、旋盤だけ使いたいときは下だけを開けられるようにしてある。
  • 雨は直接かからないといっても屋外であり、錆が心配であるがこまめに手入れすれば..ダメかな? まぁ、もうちょっと様子を見よう。 以前、ミニSLを格納する箱を作ってみたものの錆びだらけにしてしまったという失敗をしている。
    このときは雨が当たる場所だったので密閉できるようにしたのだが、換気を怠ったのが最大の原因だったようだ。 今回は雨は直接かからないし、前面は扉をしてもわずかに上下が空くようにし、扉を閉めるときは分厚いダンボースを数枚入れて湿気を吸収するようにしているのだが。
  • さて、このようなアングル、棚板式だと機械の水平がでない。 機械にも悪いし加工精度もでないんじゃないかという心配があるけど、小型軽量な機械で、ベッド類の大きさもそれほど大きな物ではないことからあまり心配はいらなかのかもしれないし、大丈夫だと思おう..どこかで割り切らなくちゃ。

旋盤にしてもフライス盤にしても重要なのは刃物である。
エンドミルは工具無くしては研げないだろうが、バイトの方はなんとか研ぐことはできる。
とはいうものの実際に研いでみるとなかなかうまくいかないものである。
手間はかかるが古いバイトで大まかに削って、仕上げは新しいバイトに交換するのがよさそうだ。

 

その他

これらの他にも、定盤、ハイトゲージ、バイスなど数多くの工具が必要になる。
ライブスチーム模型を作成するのに必要な工具類は、平岡幸三さんの著書「生きた蒸気機関車を作ろう」に詳しく記述されていますので参考にされると良いでしょう。
参考図書

一番気になることとしては機械類を使用すると騒音が付き物であるということ。
静かな機械なら近隣への配慮も少なくてすみ、どんなにはかどることだろうと常々思うのだが。


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