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5インチゲージC62形蒸気機関車の煙室内部

機関車型ボイラーの構造は、火室、ボイラー、煙室に分けられます。
運転席前方の火室で燃やされた石炭の燃焼ガスは、ボイラー内の煙管を通る際にボイラー内の水温を上げ、煙室上部にある煙突から排出されます。

5インチゲージ C62 煙室内部

しかし、火室で石炭を燃やしただけでは燃焼ガスは煙管に流れ込みません。

このため、煙室内の空気を煙突の方向に押しだして部分的に真空状態を作り、燃焼ガスを火室から煙室に導きます。

煙室内の空気を押し出すのはブロアー(送風、整風器、通風器)の役目です。

機関車は、ブロアーとして自らのボイラーで発生させた蒸気を煙突の真下につけられた通風器から煙突に向けて放出します。

蒸気圧がない火入れの時は、機関車は自力では通風ができません。

そこで、実機では機関区に設置されたコンプレッサーなど、模型では煙突に長いパイプを挿して電動ブロアーを使うなど外部の補助が必要となります。

機関車の蒸気が少しあがってくると補助のブロアは外し、機関車自身のブロアーを使用することになります。

ブロアーの効きは、蒸気を噴き出すノズルの径や角度、煙突下部のペチコート部(スカート部)の形状やその径、ノズルとペチコート部までの距離など多くの要素に影響されます。

また、むやみに蒸気の噴き出す量を増やせば、せっかく作った蒸気を無駄に使うことにもなりますし、燃焼ガスの流れが速すぎてもその熱を充分ボイラーに伝えられなくなります。

走行中は、シリンダからの排気を通風器と一体に作られている吐出管から排出して通風を得ます。

C62、D52などの近代型の機関車は吐出管の中にある加減棒で排気口の隙間を調整し通風量をコントロールできる可変吐出管となっており、火力を調整することができます。

模型では走行中の排気で通風が不足するときは、わずかにブロアーを開くことで調整することが多いのですが、可変吐出管とする例もあります。

もちろん、煙室戸は煙室を密閉するようになっていなければなりません。

模型では2~3時間も運転すると石炭の燃えがらなどで煙管は詰まってしまいます。

煙管の掃除は煙室から長い柄のついたブラシで行うため、全ての煙管が掃除できるように通風器も配置していなければなりません。

この機関車の場合、煙管は16本。

さらに、煙管の列最上部の真ん中にはシリンダに向かう蒸気管があります。

ボイラー上部の蒸気ダメから取り出した蒸気は、運転台の加減弁を経て、ボイラ内部を縦断する前に火室の上部をくぐっています。

このことで、蒸気はさらに乾燥させられて左右のシリンダに送られることになります。

蒸気上げ

(写真上) 煙突に補助の煙突をつけ、電動のブロアで蒸気上げをしている機関車

 

5インチゲージで製作したライブスチーム=ミニSL=のC62形蒸気機関車。



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